【fate槍弓】永遠にここで君を待つ13

タイトル:【fate槍弓】永遠にここで君を待つ13
内容:FGOで『槍ニキが来たら槍弓小説書きます』と呟いたら、次の日に槍ニキが来た記念に、真冬のホラー体験をプレゼント。
四・五次弓騎士が兄弟設定の上、兄馬鹿なギルが居ります。

つづきからお読みください。


◆◆◆

数日後、クーは講義に出た後のギルガメッシュを捕まえて、エミヤ青年について聞こうとした。
しかし、学食での1件以来、ギルガメッシュは警戒をしていて、エミヤ青年について尋ねることは疎か、会話をすることすら困難だった。
というか、行く先々で邪魔が入る。
教師に呼び出されたり、友人に呼び止められたり、なんでか新聞が飛んできて視界を遮られ、気が付いたら姿が消えていたなんてこともあった。
元々運が悪いと思っていたが、なんでかギルガメッシュに関しては吸い取られる勢いで運気が逃げて行っている気がする。
それでも諦めずにいると、意外な所からエミヤ青年に繋がる情報が入った。
クーのバイト先の後輩の友人が、なんとギルガメッシュが追いかけまわしている噂の君だったのだ。
しかも彼女はエミヤ青年とも顔見知りらしく、後輩経由で連絡を取り、紅茶の美味しい喫茶店で会うことになった。
約束の日、外行きの格好をしたクーは、待ち合わせの喫茶店に5分前に着いた。
煩いセミの声を背に店内に入ると、ひんやりとした空気と小さくピアノの音色が流れてきた。
カウンターの奥に立つ妙齢の店主が、いらっしゃいませと出迎えてくれる。
それに軽く会釈で返すと、店内を見渡した。
窓際に金髪の少女が座っている。
少女の前にはチョコケーキと、湯気が立つティーカップが置かれている。
「失礼。アルトリア・ペンドラゴンってあんたか?」
クーの呼びかけに少女が振り向いた。
「ええ、そうです。貴方はクー・フーリンですか」
「応、今日はありがとうな」
初めて目にしたアルトリアは、噂で聞いていた以上にとても美しい少女だった。
凛とした翠の瞳に、金糸の髪。肌の色は健康的な白で、クーやギルガメッシュの物よりもやや赤味が強い。
「私に用があると窺ったのですが」
「応。ちと聞きたいことがあってな」
「なんでしょうか」
「エミヤシロウについて聞きたいんだが」
その1言にアルトリアの雰囲気が変わった。

「こそこそと嗅ぎ回るとは、正に狗だな貴様」
剣呑な空気をその声は切り裂いた。
「アーチャー、貴方まで何の用です」
「げっ、金ぴかかよ」
重なった恨み言を気にせず、突然現れたギルガメッシュは腕を組んで偉そうにクーとアルトリアを見下ろしている。
「今日も美しいな我が嫁よ」
「貴方は相変わらず気持ち悪いですね、ギルガメッシュ。私は貴方の嫁ではありませんよ」
「ふっ、照れるな」
「……お前、なんでここにいるんだよ」
「偶然だ。まぁだが、これも良い機会だ」
そう言うと、ギルガメッシュは店長を呼び、アルトリアに好きな物を注文させた。
「我の奢りだ。好きに食うと良い」
「ありがとうございます。ではケーキを全種と季節のタルト、今日のオススメのプリン・ア・ラ・モードを。それと紅茶のお代りを頂けますか」
「いや、流石に食い過ぎじゃね?」
「大丈夫です。まだ入りますから」
小柄な女性が食べるには多すぎる量にクーは驚いたが、アルトリアの隣に腰を落としたギルガメッシュは当然のようにしてる。
「さて、狗。貴様、シロウのことを嗅ぎ回って、いったい何を企んでいる」
「否、純粋な興味というか、気になってるというか。別に悪用しようってわけじゃねぇよ」
「信用できんな」
「嘘じゃねぇよ」
「確かに我の弟に一目惚れするのも理解できる。今までも不埒な輩が居たからな」
聞き捨てならないことが聞こえたが、それは今は関係ないと無視することにした。
「貴様がシロウに害をなすとなれば、知り合いといえど貴様を排する準備はあるぞ」
そう言い放ったギルガメッシュの赤い眼には、本気の殺意が見えた。
「私も彼の意見に賛成です。シロウには恩がある。彼に仇なすならば切り捨てます」
アルトリアまでそう言いだし、クーは敵意はないと両手を顔の横に挙げた。
「エミヤが嫌がることは絶対にしない。俺の名に誓っても良い」
「……では聞こう。何故、我の弟に執着をする」
一応理由は聞いてくれるらしい。厳しいんだか寛大なんだかわからないが、今はそれに乗ることにした。
「俺がエミヤに拘るのは、『エミヤ』とアレが似ているからだ」
「貴様の知り合いだという奴か」
「応。信じられねぇかもしれねぇが、『エミヤ』はこの世の者じゃない。死者とも少し違うが、生きてはいないだろう」
クーの言葉に、2人は黙り込んだ。
嘘ではないと前置きした上で、クーはあの夏の事を話し始めた。
廃れた神社と赤い鈴を銜えた青い小鳥、捨てられ崩れた屋敷とそこに住む怨霊たち、黄泉に囚われた人々と狂った当主。そして悲しい運命に殺された神子と、寄り添うために戻って来た恋人。
思い出せる限り詳細に語った。
「話は分かった。だが、それを信じる確固たる証拠はない」
「そうだな、俺も体験したことじゃなきゃ、こんな出来事信じられねぇよ」
幽霊という存在するかどうかも不確かなものの話をされたギルガメッシュとアルトリアの反応は、やはりクーの思っていた通りだった。
「だが、それと同じ話を、我も聞いたことがある」
「は?」
当時の新聞記事でも持ってくるかと思っていたクーに、ギルガメッシュはそう言ってため息を吐いた。
「……良い話を聞かせた礼をしてやる」
ギルガメッシュがそう言った所で、アルトリアが注文した大量の菓子類が来た。
クーとギルガメッシュの前にも、湯気を立てる紅茶が置かれる。
店長が、ごゆっくりどうぞ、と言って席から離れ、ギルガメッシュが閉じていた口を開いた。
「シロウについて語ってやろう」

14へつづく。
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