【fate槍弓】永遠にここで君を待つ09

タイトル:【fate槍弓】永遠にここで君を待つ09
内容:FGOで『槍ニキが来たら槍弓小説書きます』と呟いたら、次の日に槍ニキが来た記念に、真冬のホラー体験をプレゼント。
ややグロテスクな表現、ホラー要素が含まれます。

つづきからお読みください。


◆◆◆

そこに立っていたのは、2人の男性だった。
1人は呆然として、もう1人はその相手を抱きしめている。
「エミヤ、エミヤ。やっと会えた」
「……らんさー?」
白い手を纏わないエミヤが、そう言って自身を抱き込む男に声を掛けた。
青い髪の男、ランサーはエミヤの赤い頭巾を取り払うと、恭しく顔中に口付けた。
白糸の髪に。少し紅の刺した頬に。柔らかな唇に。そして、よく鍛えられた刃に似た瞳に唇が触れると、そこに炎の煌きが宿った。
男は柔らかな声でエミヤの名を呼ぶ。
愛おしさを詰め込んだ甘露のような声だが、少しの苦みも含んでいる気がした。
「ランサー、君、死んだのでは?」
「ああ、情けねぇがバッサリやられちまった。すまねぇな」
「……私の所為だな」
「否、俺が油断したからだ。お前の所為じゃない。俺の問題だ」
ランサーの言葉に、エミヤは鋼の両目から透明な涙を流した。
ランサーはそれを口で啜り、舐め取っていく。
「守ると誓った。誓いを果たしに来た」
そう言い右手を一閃すると、そこには鮮血の色をした朱槍が握られていた。
「お前らにこいつは上等すぎる。去れ」
地面に朱槍を打ち鳴らすと、コンと軽い音がして、エミヤの周囲を漂っていた瘴気が弾け飛んだ。
それと同時にエミヤの足元に、シロウが姿を現した。
「おまえは……」
シロウを見つめ、エミヤが声を漏らす。
「役目を思い出して」
「……ああ、そうだな」
「今度はちゃんと成功するぜ。俺も一緒だからな」
「だめだ、君は輪廻の輪に戻れ!私に付き合い事はない!」
ランサーの言葉を聞いたエミヤは、弾かれたようにランサーを見て、大声を上げた。
「嫌だね」
それに対してランサーは、軽く返す。
「私は縄の神子として、未来永劫、黄泉の門を封じ続けなければならない。ずっとここに囚われ続けるのだぞ!」
悲鳴のような声が、地底湖に響く。
「応とも。それも承知の上だ」
「馬鹿なことをっ!」
くしゃりとエミヤの表情が歪んで、ランサーに抱きつく。
「そこの青いの」
「……なんだよ」
急に声を掛けられ、クーは座り込んだまま、こちらに向いた赤い瞳を睨み返した。
「礼を言う。迷惑を掛けた」
「……応」
なんとなく予感はしていた。彼は、エミヤを助ける為に、クーをここへ導いたのだと。
この屋敷に迷い込んだのは偶然ではない。
あの神社で青い小鳥に赤い鈴を拾わされた時から、ランサーはエミヤの元へ運んでもらうのを待っていた。
それを態々エミヤの前で言うのは、エミヤに対して淡い想いを抱き始めたクーへの牽制と、それだけお前を愛しているのだとエミヤに伝える為だろう。
喰えない男だ。
「そいつ、もう1人にしてやるなよ」
「言われんでも、離してなんざやらんさ」
ニヤリと笑うと、ランサーの口元に鋭い犬歯が見えた。
「ここは直に地下に埋まる。早く避難しろよ」
「否、でも出口がねぇんだけど?」
「こいつが案内するさ」
ランサーがそう言うと、シロウがクーの側に歩いてきた。
その色彩がエミヤと同じに変わっている。
「ありがとう、お兄さん。俺を元に戻してくれて」
「ありゃあ、あの青いののお陰だろ」
「彼を連れて来てくれたのは貴方だから、お礼は貴方に言うのが筋だろ?」
シロウの言葉は正しい気がしたので、クーはそれ以上は言い返さず口を閉ざした。
「崩れる前に行こう」
シロウに促されて、クーは立ち上がる。そしてシロウに先導されて洞窟を歩き始めた。
明かりがない、仄暗くぼんやりとした道を歩きながら、クーはシロウに問いかけた。
「……あいつらは良いのか?」
「エミヤシロウは黄泉の門を、その魂をもって封じ続ける道を選んだ。未来永劫、この場所でその魂が消滅するまで、裂かれる痛みに耐え続ける。それが縄の神子の役目」
「俺が代わってはやれないんだな」
「うん。でも大丈夫。今度は彼がいる。1人じゃない。彼はエミヤシロウを守り続けると言った。私はそれを信じている」
そう言って、シロウは後ろを歩くクーを振り返った。
「君に感謝を。私を救ってくれた」
満面の笑み。
「さあ、帰ると良い。君の世界が待っているぞ」
指示したのは、光射す洞窟の出口だった。
無意識にクーの脚は進む。
「ありがとう」
トンと背中を、大きな手で押され、クーは光の中へ飛んだ。

10へとつづく。
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