【fate槍弓】永遠にここで君を待つ08

タイトル:【fate槍弓】永遠にここで君を待つ08
内容:FGOで『槍ニキが来たら槍弓小説書きます』と呟いたら、次の日に槍ニキが来た記念に、真冬のホラー体験をプレゼント。
ややグロテスクな表現、ホラー要素が含まれます。

つづきからお読みください。



◆◆◆

彼は、そこに居た。
沢山の白い手に囲まれ、じっと開かれたままの石造りの扉を見上げている。
クーはそのゆらゆらと揺れるその背中に声を掛けた。
「エミヤ」
エミヤがゆっくりと振り返る。
赤い布の隙間から色の抜けた瞳が見えた。
無機質なそれに、険しい表情のクーが映る。
クーに気が付いたエミヤは、ぎこちない動きで宙を右へ左へと浮きながら進み、ゆっくりとクーへと近づいてきた。
あと1歩。手を伸ばせば触れられる位置までエミヤが近づいた時、エミヤの小さな呟きがクーの耳に届いた。
「にげて、にげて……、わたしにちかづかないで。ころしてしまう、さいてしまう。わたしからにげて、ころしたくない、さきたくない。にげて、もういやだ……」
ああ、そうか。お前はこんなになってまで、他人の、誰かのために苦しんでいたのか。
クーはエミヤの言葉に、悲しみよりも怒りを感じた。
それは憤り。こんなにも優しいエミヤを苦しめた衛宮の家の物に対するもの。そしてそこまでして他人のために尽くす、エミヤの自己を顧みない奉仕体質に対するものだ。
「もう良い。お前はもう十分苦しんだ」
そう言って、クーは右手に握りしめていた石をエミヤの足元に放った。
4つの石が、エミヤの四方を囲み、赤い光を放つ。
発条が切れたようにエミヤの動きが止まった。
「解放してやるよ。もう眠れ、エミヤシロウ」
クーは手を伸ばし、エミヤの体に纏わりつく白い手たちを引きはがそうとした。

ゴゴゴゴゴゴッ

「なんだっ!?」
地面が揺れる。
立っていられないほどの巨大な地震に、クーは堪らずその場にしゃがみ込んだ。
地下の空洞に位置しているからか、天井からは大小様々な大きさの石が降り注いでいる。
地底湖の水面も激しく揺れ動いていた。
両手で頭を庇っていると、クーの背後からビキキキっと、聞いたことのない酷い音がした。
嫌な予感がして、咄嗟にエミヤの横を通り過ぎて、黄泉の門の前まで走る。
振り返ると、クーの居た場所からエミヤが浮かんでいた地面までが、全て地底湖へと沈んでいた。
地面が消えれば、当然そこに置かれただけだった護り石も湖の中だ。
束縛から解放されたエミヤが、ゆっくりとクーに近づいてくる。
地震は収まっていないが、霊であるエミヤには関係ないことだ。
万事休す。
両手足に縄を掛けられているクーは、あと1回エミヤに触れられたら、五肢を裂かれ絶命してしまう。
またエミヤに苦しい思いをさせてしまう。
諦めたくなかった。
「くそっ!何かないのかよっ!」
そう悪態を吐いて、ポケットの中を探る。
と、その時。指に硬い感触が当たった。
摘まんで出してみると、それは、最初の神社で小鳥が残していった赤い鈴だった。
「これは……?」
その鈴が、急に音を鳴らした。
「は?え、俺、鳴らしてねぇぞ!?」
りぃん、りりぃん、と軽やかだが、どこまでも響く音が地下に木霊する。

ピピピッ!

何処から現れたのか、クーの目の前にあの青い小鳥が居た。
小鳥はクーの手から赤い鈴を奪い取ると、嘴に銜えたままエミヤに向かって宙を翔けて行った。
そして、エミヤの胸に吸い込まれ、直後、物凄い爆風と光がクーを襲った。
目を開けていることが出来ず、クーは両手で目を庇い、その場に突っ伏した。
地面の揺れがピタリと止まる。
風と光が止まっていることを確認して、クーは顔を上げた。

09へつづく。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)