【fate槍弓】永遠にここで君を待つ03

タイトル:【fate槍弓】永遠にここで君を待つ03
内容:FGOで『槍ニキが来たら槍弓小説書きます』と呟いたら、次の日に槍ニキが来た記念に、真冬のホラー体験をプレゼント。
ややグロテスクな表現、ホラー要素が含まれます。

つづきからお読みください。


◆◆◆

廃れた屋敷は広く、まるで迷路の様だった。
鍵で閉ざされた部屋や、扉自体が壊れ中に入れない場所もあった。
それでも探索を続けていると、この屋敷のことも分かってきた。
この邸宅は、かつては広大な土地を治める地主の家だったらしい。しかもそれだけではなく、この地方の神事に関わる、何か特別な意味を持つ屋敷だという。
その神事に関わる書物もいくつか見つけることが出来たが、やはり保存状態が悪く、読み解ける場所は少なかった。
辛うじて読めたのは『縄が神事に使われていた』ことと、『幼い子供が選ばれる』こと。
だがそれらがどういう意味を持つかは分からない。
この家の最後の当主は、家人全員を惨殺したと言い伝えられていて、その後にこの屋敷に越してきた一家も行方不明になったようだ。
また周辺では『人間の胴体のみの死体』が見つかる事件も続いたらしい。
その死体は、手、足、首が強い力で文字通り『引き千切られ』ていたらしく、警察でも猟奇殺人事件として調査されていたが、未だに犯人は見つからないと記事には書かれていた。
その為、この屋敷には訪れる者も居らず、廃墟のまま捨て置かれているらしい。
所々に落ちている手帳や、そこに挟まれている新聞記事の切り抜き、破れた草紙の一部などから分かったのはそれ位だ。
「神事に関わる屋敷ねぇ。まぁ、この空気から察するに、黄泉と繋がっちまったんかねぇ」
クーは蜘蛛の巣が張った棚に本を戻しながら呟いた。
かつてこの屋敷に移り住んだという一家の父親が使用した書斎には、色々な書籍が残されていた。
父親は民俗学者だったらしく、病弱で体が弱かった妻を思い、この屋敷に妻子を連れて移り住んだらしい。だが一人娘が神隠しに遭って行方が分からなくなり、それを悲観した妻は中庭の木で首を吊ってしまった。残された民俗学者も、例の『胴体だけの死体』として見つかったという。
「子供は神隠し、大人は引き裂かれた死体か首吊りか。これも神事が関係するのか?」
そこまで考えて、クーは動きを止めた。
部屋の外で、物音がする。
この部屋に来るまでに、クーはこの世ならざる者たちを見てきた。
腕の長い老人、頭のない僧侶、首の折れた女、片腕が千切れた男。
どれもすでに死した者たちで、誰も彼もクーを見つければ襲い掛かってきた。
クーは見えるし聞こえるが、触れることも祓うことも出来ない。仕方なく自慢の俊足を生かして逃げまくっていたのだ。
だが、ここは部屋の中。逃げ道は入り口1ヵ所しかない上に、月見窓の外には出られる場所がなく、不幸にもここは2階で飛び降りるにも相当な勇気がいる。
実質、袋小路だった。
クーは息を殺して、外の気配を探った。
ざわざわと、首の後ろの産毛が逆立つ。
良くないものだ。恐らく、会ってしまえば死ぬ。
クーは逃げるために足を後ろに引いた。
「お兄さん」
小さな声に、クーはザッと視線を移した。
そこには小さな男の子が居た。
赤茶色の柔らかそうな髪に、大きな金茶色の瞳。ふくふくと円い頬は柔らかそうで、白い肌色と合わさって大福みたいで美味しそうだ。
紺色の質素な浴衣を着た少年は、小さな手を上下に動かしてクーを誘っている。
「あれはダメだよ」
あぶないよと、幼子が小さな声で警告してくれる。
敵意は無いようだが、少年も生きていない存在だ。
だがここでじっとしていても、外の存在に見つかればそれまでだ。
「こっち」
少年はそう言うと部屋の隅へ歩いていき、そこの壁を押し込んだ。
押し込まれた壁が動き、それが背の低い隠し扉だとクーに教えた。
驚くクーを他所に、少年は奥へと進んでいく。
クーは遅れないようにと慌てて少年の後に続き、隠し扉から脱出することにした。

04へつづく。

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