【fate槍弓】永遠にここで君を待つ02

タイトル:【fate槍弓】永遠にここで君を待つ02
内容:FGOで『槍ニキが来たら槍弓小説書きます』と呟いたら、次の日に槍ニキが来た記念に、真冬のホラー体験をプレゼント。
ややグロテスクな表現、ホラー要素が含まれます。

つづきからお読みください。


「はあぁぁぁ!?なんだこりゃ!?」

鳥居を潜った瞬間、クーの全身に悪寒が走った。
慌てて戻ろうと、後ろを振り返り、それを目にして大声を上げてしまった。
そこには鬱蒼と茂った暗い森が広がり、通ってきた筈の鳥居の影も形も見当たらない。
見間違いである可能性を信じて、クーは目を閉じると大きく数回深呼吸をした。そして意を決して再び瞼を上げる。
クーの希望を裏切り、目の前には変わらず森が広がっていた。
上を見上げると、闇に落ちた空が見える。
クーが鳥居を潜った時、空にはギラギラと照り付ける太陽があった。しかも時刻はまだ午前であった筈だ。
クーはポケットに仕舞った携帯電話を取り出すと、時間を確認した。
「0:00?しかも圏外じゃねぇか」
待ち受けのデジタル時計は0:00のまま点滅しており、電波は届いていない。
「こりゃあ、連れて来られたな」
半目になったクーはそう言って、ため息を吐いた。
クー・フーリンはとても美しい。
それは人もだけではなく、人ならざる者をも惹き付ける。
幼い頃から怪異は身近にあった。
あり得ない物を見て、聞こえない音を聞いて、怪異の側で生きてきた。
だがそれに関われば碌な目に会わない。
巻き込まれないように、目を逸らすことで危険を回避していた。
「で、今回はなんだ?また恋に狂った女か?」
あまり女運のないクーは、そう呟くと周囲を確かめた。
森の中を進んでも、恐らく元の場所には戻れないだろう。
幸いにも、クーの足元には石畳があり、それはクーを導くように道になってどこかへと続いていた。
クーはそれが帰り道に続いていると信じて辿ることにした。
石畳の道の両脇には石灯籠があり、それには火が灯されていた。覗き込んで確認してみたが、火袋の中には一般的な和蝋燭が立っているだけで、変わった所はなかった。
明かりの点いた道をそのまま歩いていくと、大きな屋敷が見えてきた。
立派な日本風の大きな武家屋敷。だがその風体はお世辞にも綺麗とは言い難かった。
屋根の瓦は所々落ちているし、雑草も生えている。壁の一部は崩れそこから室内が見えていた。
どう見ても、人の気配がしない武家屋敷。
嫌な予感がしたが、ここ以外に道は繋がっていない。
クーは警戒しながら、屋敷の玄関扉を横に引いた。
「お邪魔します」
一応声を掛けてみるが、当然返る声はない。
室内は真っ暗で、埃臭い。捨てられてから相当長い年月が経っているのだろう。
クーは携帯のライトを灯して、玄関を潜った。

「たすけて」

「っ!?」
真後ろから聞こえた声に、クーは振り返った。
しかし、そこには誰もいない。
「やられた……!」
そこには閉ざされた玄関扉があった。
扉に手を掛けてみるが、案の定びくともしない。
完全に退路を塞がれていた。
「なるほど、出たけりゃ先に進めってか」
誘い込まれている。そう感じたが、ここでじっとしていても解決はしないだろうし、自身の体力が持たない。
いつの間にか喉の渇きは無くなっていたが、先ほどまで暑くて仕方なかった気温は肌寒く感じる位まで下がっていた。
それなのに漂う空気は湿っていて気持ちが悪い。
ライトで玄関周りを照らしてみる。
外に負けず劣らず、玄関内も相当荒れていた。
左右にある格子戸は壊れ、三和土の真ん中には屋根が落ちて来ていて、床を突き抜けていた。
まだ安全そうな場所を探して歩いていると、ぼんやりと明かりが見えた。
誘われるまま其方に目を向けると、そこには懐中電灯が転がっていた。
スイッチが入れられたままのそれに照らされて、半開きの扉が暗闇の中で浮かび上がっている。
もしかしたら自分以外にも誰か誘い込まれたのだろうか。
クーは慎重に懐中電灯に近づくと、それを拾い上げて見分した。
2、3回スイッチを切り替えたが、まだまだ使えるようだ。
携帯電話のライトでは明るさが心許ない上に扱い辛いし、いざという時に充電が切れていては役に立たない。
落とし主には悪いが、ここは使わせてもらうことにした。
心の中でお礼を言い、クーは先ほど照らされていた扉に近づいた。
半開きの隙間から顔だけを出して、その先を窺う。
そこにあるのは細長い廊下だ。
扉を少し開いて懐中電灯を入れ、その明かりで照らしてみると、そこは天井から無数の縄が吊るされた廊下であることが分かった。
これは相当に趣味が悪い。
縄の先は輪になっており、それがある事象を連想させて、クーの機嫌を下げさせた。
どうやら進める場所はこの趣味の悪い廊下だけの様で、クーは仕方なくこの廊下に足を踏み入れた。
ギシギシと古い板が苦しそうに鳴く。
慎重にゆっくりと廊下を進むと、チラチラと光が見えた。目を凝らすと、そこには巨大な姿見があるのが見えた。
廊下の先が丁の字になっており、その交差に鏡がはめ込まれているようだ。
懐中電灯の光を反射していたらしい。
近づきながら更に照らすと、鏡の前に茶色の手帳が落ちているのに気が付いた。
屈み込んでそれを手に取ると、中を検める。

『 8月20日 
■■先生の次回作の資料として、民俗学者の■■■■氏の手記に、■■邸についての記述があるらしいので、手配してくれとのこと。
各地方の神事や■■についての書物。


9月10日
■月の地震と、■■で起きた変死事件、さらにこの■■邸には、何らかの関連性があるらしい。

9月12日
いつのまにか、玄関の扉が壊れている。開かない。
他の出口を探さなければ。

また1本、縄が増えた。

縄が……』

手帳の保存状態が悪く、所々紛失している上、文字も滲んで解読出来たのは一部だけだった。
あまり良いとは言えない内容に、クーは眉を寄せた。
どうやら相当ヤバイ何かに巻き込まれたようだ。
手帳はその場に残し、クーは出口を探すために屋敷の奥へと足を進めた。

03へつづく。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)