【fate槍弓】永遠にここで君を待つ01

タイトル:【fate槍弓】永遠にここで君を待つ01
内容:FGOで『槍ニキが来たら槍弓小説書きます』と呟いたら、次の日に槍ニキが来た記念に、真冬のホラー体験をプレゼント。
ややグロテスクな表現、ホラー要素が含まれます。

つづきからお読みください。



◆◆◆

かごめ、かごめ
籠の中の鳥は
いついつ出やる
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った

後ろの正面だあれ?

◆◆◆

『今年の夏は、例年より暑い日が続いております。熱中症には十分お気を付けください』
今朝聞いた女性アナウンサーの軽い声を思い出しながら、クー・フーリンは額から流れ落ちる汗を腕で拭った。
玉の汗が浮いた肌は真白く、強い意志を宿した瞳は血を固めたような鮮やかなピジョンブラッドルビーの赤、青空を写し取った艶やかな長髪は鮮やかな青。
少年と青年の中間期の顔立ちは中性的で、中学に上がり身長が伸び始めるまでは少女でも通用していた。
来年には高校に上がる。
二次性徴が始まり声も大分低く変わった現在では、顔立ちの綺麗な男性へと印象を変えていた。
「あー、喉乾いたぁ……」
力無く呟いたクーは、近くにあった巨木の陰に入り込み、そこにドカッと腰を下ろした。
携帯と財布を片手に親戚の家から散策に出て、かれこれ3時間は経っていた。
中学最後の夏休み、親に頼まれて、遠縁の老夫婦の家に手伝いに来ていた。
子供のいないその老夫婦が2人きりで住む家は、今年が終わるとともに水の底に沈むことが決まっていた。
貯水用のダムの建設範囲に入っていたのだ。
この町で行うすべてが、これで終わる。
代わりに用意された場所に移り住む人たちもいるが、大半が高齢者で街としての歴史は受け継がないと決めたらしい。
廃村の最後の思い出にと、若い男手を募り、伝統の祭りを行うことになったと聞いた。
クーのその手伝いと、老夫婦の引っ越し作業を手伝うために来た。
「まずったなぁ。ってか、ここ何処だ?」
汗で湿ったTシャツの襟から空気を入れながら、クーは改めて周囲を見渡した。
苔や雑草が生えている石畳の参道に、表面が剥げた赤茶色の鳥居。ボロボロの本殿。拝殿は無いのだろう、こじんまりとした神社のようだが、随分と廃れている。
ガラス窓が木で封鎖された社務所と、その傍に手水舎があるのが見えた。
顔でも洗おうと腰を上げて手水舎に向かったが、水は疎か柄杓の1つすら置いていなかった。
枯れている手水舎の水盤に手を伸ばし、クーは眉を顰める。
表面を触ると、ザラリと砂の感触がした。
枯れてから長い年月が経っているようだった。
使用した形跡もない。だが、それにしては、木の葉の1つも落ちていないことに違和を感じた。
周囲には落葉樹が多くあるのに、妙だ。
それに、神社自体の様子もおかしい。
クーの勘が、『これは異常だ』と訴えている。
廃れた気配はするのに、汚れていない。
捨てられたとしたら綺麗すぎる。
まるで誰かが掃除でもしているかのようだ。

りぃん……

耳に届いた微かな物音に、クーは警戒して振り返った。
先ほどまでクーが座り込んでいた巨木。その地面に1羽の小鳥がいる。
腹だけが白い、青い小鳥が地面に落ちた何かを突いて遊んでいた。
小鳥がそれを突く度に、チリっチリンと、小さな音がする。
クーに気が付いた小鳥が、それを口に銜えて振り返った。
「……鈴か?」
小鳥の黒い嘴には、赤い鈴が銜えられていた。
クーに驚いたのだろうか、小鳥は嘴から鈴を取り落とすと、声も上げずにばさりと羽ばたいて、その場から飛び立ってしまった。
残されたのは、金の飾り糸が付いた赤い鈴。
クーは暫し悩むと、近付いてそれを拾い上げた。
見た目には古い感じはするが、音もなっているし、まだ使える様だ。
ここで捨てて置くもの座りが悪いし、クーはその鈴を持ち帰ることにして、ズボンのポケットに仕舞い込んだ。
老夫婦にでも贈ろう。まずはここから出て、先ほど歩いてきた道を戻ることを考えよう。
そう思って、クーは鳥居を潜った。

その様子を、鳥居脇に置かれた1体の道祖神が、2対の瞳で見つめていた。

02へつづく
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