衝動を情熱に変えて(恋一/シリアス)

出会いは最悪。
再会は殺し合い。
分かれたるは路、交えるは心。


衝動を情熱に変えて
黒崎一護と阿散井恋次が出会ったのは、月明かりが煌々と輝く月夜だった。
互いの印象は最悪。
一護は恋次に刀を向け、恋次は一護の牙を折った。

二度目の邂逅は、尸魂界。
殛囚(きょくしゅう)となったかつての幼馴染を死に物狂いで取り返しに来た一護を、護廷十三隊六番隊副隊長として向かい討った。
思えば、その時に阿散井恋次という男は、黒崎一護という少年に恋をしたのだろう。
あまりにも輝いていた。
あまりにも眩しかった。
己が追い求めた強さを持つあの人が月だとしたら、今目の前にいるこの少年の強さは正に太陽だった。
自分でも馬鹿だと思う。
月だけでは飽き足らず、太陽にまで手を伸ばすのかと。
しかし、それでも一護の不器用なまでに素直な生き方に、儚げなほど強かな在り方に、心ではなく魂(こころ)が震えた。
『ああ、俺はこいつに惚れているんだろう。』
そう思ったのは、双殛の丘での死闘の後、傷ついた体を引きずりながら目覚めた時。
同じく隣の寝台に寝ていた一護の寝顔を目にした瞬間だった。
そして、再びの別離。
恋次は尸魂界に残り、一護は自らの現世(せかい)へと帰っていった。
もう、会うことはないだろう。
恋次が密かにそう思ったことを、きっと一護は知らない。

しかし、恋次は一護と三度(みたび)の再会を果たす。
場所は空座町。現世での学び舎で再会した一護は、心の雨は止んだと言って別れたときよりも深い闇を抱えていた。
太陽の子はその強い光ゆえに濃い闇を抱え、その優しい心ゆえに独りきりで苦悩していた。
そのときの衝撃は言葉にならなかった。

ああ、愛しい人がまた苦しんでいる。
無いはずの疵が痛いと、声を上げることもなく独りで泣いている。

泣く事もできず、泣いていることさえ気が付いていない少年の腕を取り、恋次が屋上に向かったのはルキアが一護とともに帰ってきた後の昼休み。
幾分か渋る一護を、有無も言わさず柵の手前まで連れて行き開放する。
「なんだよ、恋次。どうかしたのか?」
掴まれていた右腕を摩りながら一護が問う。
「・・・一護、てめえ、何故泣かねぇ。」
「は?」
一瞬の沈黙があたりを支配する。
「泣くも何も、別に俺は泣くようなことなんかねぇぞ?」
先に口を開いたのは一護。
口調こそ軽いものだが、その表情は僅かに強張っている。
「いんや。てめえは確かに泣いている。・・・感情がじゃねえ。ここが泣いているんだよ。」
恋次はそう言って一護の胸を軽く叩く。
瞬間、一護の顔が苦しそうに歪んだ。
「一護?」
「・・・なんで。なんで、あんたは気づいちまうんだよ。」
震える声で一護が告げる。
「俺が必死で隠そうとしても、あんたはそれを簡単に暴いちまう。やめてくれよ。俺は弱いんだ。隠してないと、周りに知られちまったら、一人で立つことも出来なくなっちまう。」
だから、やめてくれと、目の前の少年は苦しそうに俯いて言葉を吐き出す。
「・・・別に一人で立つ必要なんかねえよ。」
一護が息を呑む音が聞こえた。
「お前はもう十分一人で立っているじゃないか。これ以上一人でいると孤立しちまうぞ。」
「俺は!一人で立たなきゃなんないんだ!もう放っといてくれよ!」
そう言って歩き出そうとする一護を、恋次は抱きしめることで止めた。
「な!?なにすんだ、あんた!!」
恋次の腕の中で、一護が慌てたように暴れだす。
どうしてこいつは、こんなにも頑(かたく)ななのか。
「離せよ!恋次!」
必死で暴れているのだろう一護の抵抗は、実際のところそれほど力が入っていない。
それは何故なのか。
それを、一護は気が付いていないし、気付こうともしない。
それが悔しくて悲しくて、本来なら捨ててしまうべき感情が恋次の中で、ごとりと音を立てて動き出した。
「黒崎一護。俺はてめぇのことが好きだ。」
恋次は、その激情に突き動かされて、腕(かいな)の中で暴れる一護の耳元で、しっかりとした意志を乗せて囁いていた。
途端、一護の動きがぴたりと止まった。
それを見越したように腕の力を抜き、一護を正面から見据える。
一護は恋次の言葉を咄嗟に理解できなかったのか、どこか放心した様子で恋次の事を見ている。
「良いか。一度しか言わねぇから良く聞けよ?俺は、てめぇのことが好きだ。」
純粋な恋情の想いを込めて言う。
「・・・好き?恋次が、俺を?」
「おう。」
一護のぼんやりとした視線が、恋次の上を滑っていく。
「今、てめぇが何に悩んでいやがるのかは知らねぇ。だけどな、何でもかんでも一人で背負おうなんて思うんじゃねぇよ。それじゃあ、てめぇ、いつか潰れちまうぜ。その前に、少しでも良いからよ、その荷物(おもに)、俺にも背負わせろよ。」
恋次の言葉に、一護は返事を返そうとしない。
恋次はそれに焦れた様子もなく、ただ一護の言葉を待っている。
二人の間を、静かな風が穏やかに流れていった。
「・・・もし、俺が背負ってくれといったら、あんたは背負ってくれるのか。」
「ああ。」
「それがどんな事でも?」
「もちろんだ。想い人が苦しんでんだ、助けてやりたいってぇのが、人の性ってもんだろう。」
そう言って、ニカッと笑ってやる。
驚いたように恋次を見上げていた一護は、次の瞬間、泣きたいのを堪えるような表情をして俯いてしまった。
しかし、その表情は先ほどまでと違い、どこか甘いものを感じさせる。
右手で恋次の左胸を軽く押し、一護は消えそうな声で小さく言った。
「俺も、恋次のことが好きだ。・・・だから、半分持っててくれ。いつか、ちゃんと一人で背負えるまで。」
ああ。何故、俺の想い人は、こうも不器用なんだろう。
どうして、こうも強いのだろう。
胸の裡(うち)から愛しい想いが溢れてきて、恋次を一護を優しく抱きしめていた。

出会いは最悪。
再会は殺し合い。
分かれたるは路、交わるは心。

この衝動を情熱に変えて、愛しいと想う魂に贈ろう。
『大好きだよ』と。

【おわり】


貴皇さん。文章がまとまってないYO(泣)!

BLEACH小説。恋次と一護の出会いから告白まで。
私が恋次を小説で書くと、なぜか似非紳士(笑)になります。
読む分にはヘタ恋次の方が好きなのに、なぜ私が書くとこんな恋次になってしまうんだろうorz。
そして、この恋次は果たして皆に受け入れられるのだろうか(汗)。


誤字脱字報告・感想お待ちしておりますVv
神流木 貴皇拝。
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テーマ : BLEACH - ジャンル : アニメ・コミック

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